お知らせ

令和4年度 シニアオープンカレッジ(その1)

2022.12.15

令和4年11月24日木曜日

姫路大学において,R4年度の公開講座「シニアオープンカレッジ」が開講され,教育学部の先生方による講演が行われました。

その内容について,数回に分けて取り上げていきます。今回はその1回目です。

1.目的

 シニアオープンカレッジの目標は生涯現役社会の実現に寄与することであり,その目的を達成するための地域貢献に寄与すること。

 

2.内容

第1回目の教育学部の和田幸司教授による,『「灘のけんか祭り」の成立-放生会(ほうじょうえ)って何?-』という題目の講演では,中世社会は社会危機にどのような対応したのだろう?という発問が行われ,中世の社会危機である大地動乱・疫病の脅威・気候変動について,時系列で科学的な解説が行われた。

例えば,864年7月17日駿河富士山噴火・867年2月26日豊後鶴見岳噴火・868年7月8日播磨大地震・869年5月26日陸奥大地震等の大地動乱や735年~737年の天然痘の流行(全国平均死亡率25~35%)・756年の麻疹の初見は一世代間隔で5度にわたり深刻な流行・861年赤痢の大流行により多くの人々が死亡する。京都の祇園祭は疫病の原因と信じられた怨霊の祟りを鎮めるためにこの時期に始められる。993年から995年はインフルエンザ・天然痘の流行でパンデミックが起こる等の疫病の脅威。特に,800年~1000年の降水量の偏差と気温の偏差による影響を受けた農村は大きな試練に見舞われたことについて,樹木の年輪等から調査が可能であることの説明が行われた。

シニアオープンカレッジの講演の様子
近世「灘のけんか祭り」の神輿
殺生禁断令とは
殺生禁断令の関係資料
放生会の様相の資料
石清水八幡宮への調査
宇佐八幡宮放生会の様子           
放生会とは,仏教の不殺生,不食肉の戒めに基づき,鳥魚等を野や海に放って命を救う法会である。
政治的には,猟師・魚労民の殺生により土地が穢れるという理由で社領内から締め出せるので,殺生禁断思想は荘園等の所領地確保に役立った。また,前世・現生・後世の三世思想と殺生禁断思想は,前世の貢納義務や布施行為の合法的論理化をはかった等の話が展開された。