お知らせ

姫路大学健康・教育実践研究センターの公開講座(ご報告)

2023.03.28

「ネット依存について」  令和5年3月

 

 姫路大学において,令和4年度の「姫路大学健康・教育実践研究センターの公開講座(姫路市後援で2023年2月~3月の間に4回)」が開講され,姫路大学の先生方による講演が行われました。その時の内容をご紹介します。今回取り上げる公演は教育学部の日潟教授による『ネット依存について』の内容になります。

 

1.目的

 本研究センターの目的は「子どもから高齢者の健康と発達の向上にむけた研究及び支援方法の開発を行い、相談活動や健康教室、講座等を通して地域社会に貢献すること」です。その地域貢献活動の一環として「姫路大学健康・教育実践研究センターの公開講座」を開講いたしました。

 

2.内容

 姫路大学健康・教育実践研究センターの公開講座の第4回目の教育学部の日潟教授による『ネット依存について』という題目の講演では,「IT機器,電子ゲーム等がこどもの生活や健康に及ぼす影響」について「なぜ,ネット依存が生じるのか?」という発問が行われ,ネット依存になる要因を理解することにより,ネット依存が生じさせないための有効な予防策ができることの解説が行われました。

 日本のスマホの利用率や病的なインターネット依存の疑いのある中高生の具体的な数値が示され,こどもにネット依存が進行する過程を段階別に解説するという導入から始まりました。次に,ネット依存が加速することにより現れるこどもたちの言動や身体の特徴について,脳の島皮質の死滅や帯状回前頭部や前頭眼窩回などの神経細胞の密度低下が起こり,神経線維の繫がりが悪くなるために生じる脳の働きの低下について,写真や図を多用した説明が行われました。次に,人体への悪影響をこどもに引き起こすネット依存症の症状が「精神依存」の一つであり,「正の強化(快楽を得るため)」と「負の強化(不快を解消するため)」で構成されていることが説明されました。特に,ネット依存については,ネットメディアを使用していないときに不快な感情が生じるか否かの「負の強化」の程度を見極めることが重要であることが話され,ネット依存を生じさせないための予防策として「直接的予防」と「間接的予防」の例が示されました。終盤は,ネットを自制する力を身につけるために作成された「自分の目標・夢をかなえるワークシート」等のオリジナル教材を用いた心理教育を行い,授業実践後のアンケート調査の結果から教育効果についての有効性が示唆されたことの報告が行われました。

 

ネット依存が中高生に及ぼす影響
脳細胞に及ぼす異変
脳に異変が起こる部位
脳の神経細胞の低密度化 
心理教育の成果(ネット依存傾向の低下)
心理教育の成果(空虚感と計画性)